大会長挨拶
日本バイオメカニクス学会第 31 回大会(JSB2025)を、2025年12月6日(土)・7日(日)の2日間にわたって、奈良女子大学(奈良県奈良市)において開催いたします。
2020年から3年間続いたコロナ禍での生活では、老若男女を問わず著しく身体活動が制限されました。社会におけるこの劇的な変化はその後の生活や健康に大きく影響していると考えられ、体力や運動制御能力に及ぼした影響については、今後追跡・検討していくべき重要な課題であると考えます。また別の視点として、AIの台頭が目覚ましい時代になり、進化したAIは人間の思考に近づき、将来的には人間を超えるかもしれないとも言われています。近い将来、ロボットによるオリンピック大会が開催されるかもしれません。そんな時代の中で、これから私たちは様々な場面でAIをうまく活用しながら、同時にヒトがもつ運動制御における巧みさ、不思議さに改めて目を向ける必要があるでしょう。そこで、今大会はテーマを「巧みのメカニズム」とし、2つのシンポジウムを企画しました。
また、French Society of Biomechanics(FSB) FSBとの連携の一環として、Rogowski先生をお招きし、特別講演をしていただきます。この企画を通して、国を超えた知の交流が促進されることを期待しています。
会場の奈良女子大学は、世界遺産に登録されている古都奈良の文化財8か所のうち5つが点在する奈良公園のすぐ西に所在しており、そのうちの一つである東大寺の屋根を学内から眺めることができます。参加される皆さまには、冬の奈良を満喫いただければと思っております。
今大会が、「人間の身体運動に関する科学的研究ならびにその連絡共同を促進し、バイオメカニクスの発展をはかること」を目的とする日本バイオメカニクス学会における研究の一層の促進と、参加いただく皆さまにとって、新たな視点に対する気づきや獲得につながる刺激に富んだものとなれば幸甚です。
日本バイオメカニクス学会第31回大会 大会長
藤原素子(奈良女子大学生活環境学部教授)